交通手段
1、 一般事情
ハノイの主な交通手段は、バス、タクシー、バイク、自転車、シクロ(人力三輪車)などである。一般庶民の通常の移動手段としては、バス、バイク、自転車が主流であり、徒歩で移動する人はほとんどいない。ハノイの市内バスについては、かつては地元の人にも不人気であったが、最近ようやく新車が導入され、路線も整備されるようになり、利用者も徐々に増えてきている。
ハノイ、ホーチミンといった大都市ではバイクの交通量が多く、車、自転車と入り乱れて走行しているため、交通渋滞の原因となっている。その混雑に交通マナーの悪さがいっそうの拍車をかけ、接触事故などが絶えず起こっており、交通事情は劣悪といえる。
ハノイの道路は、おおむね舗装されてはいるが亀裂や凸凹が多く、自転車などで混雑しており、車同士の無理な追い越しも非常に多いので、自分で車を運転することは避けたほうがよい。
雨季には山間部で土砂崩れや落石が頻発し、幹線道路でも何時間も遮断されることがある。また、橋の整備は遅れており、老朽化のために穴が開いているところもある。
<タクシー>
タクシーは無線式で、電話で呼び出すことができる。料金はメーター式で、たとえばHanoi
Taxiの基本料金は1万1000ドンで、1kmごとに7500ドンずつ加算される。空港までは片道10米ドルである。いずれもエアコン完備の新車である。
利用時間は午後12時くらいまでで、それ以降は白タクしか利用できないことが多い。支払いは米ドルまたはドンでできるが、ドルの端数はドン払いとなる。チップは不要である。
- Hanoi Taxi
- CP Taxi
- Mai Linh Hanoi Joint-stock Company(マイ・リンタクシー)
- Thanh Hung Taxi
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<シクロ>
以前は台数も多かったが、今では大都市での観光客相手の乗り物となっており、数は減り続けている。ホテル前や観光名所など、観光客が集まる場所で多く見かける。運転手のなかには不心得者もいるので、利用する場合は早朝や深夜の人が少ない時間は避けたほうが無難である。
外国人料金の目安は1kmあたり3000ドンが相場であるが、乗る前にきちんと行き先を告げ、値段を交渉しておく必要がある。外国人と見ると近距離でも1米ドルなどと言ってふっかけてきたり、到着後に「疲れたから」などと言って追加料金をせびられるケースもあるので、毅然とした態度をとることが必要である。
<バス>
バスは郊外まで乗っても料金が2500ドンと格安で、最近は新車が導入されて路線も整備されつつある。しかし、ラッシュ時には時間どおりに走らないなどの理由で、ベトナム人にも今ひとつ不人気である。
長距離バスは常に混雑しており、乗り心地も悪い。したがって、長距離を移動する時は、自家用車を利用するか、運転手付きのハイヤーを頼むことが多い。
<鉄道>
鉄道は、ハノイ〜ホーチミン間を32時間で走破する最速列車をはじめとして、各種の列車が運行されている。しかし、運賃が高いにもかかわらず時間がかかり、移動手段としては不便である。また、車内での盗難も多発しているので、利用の際は十分に注意する必要がある。
<航空>
国内航空便は、ハノイとホーチミンや、両市と地方都市を結んでおり、中長距離の重要な足となっている。これまで国内線はベトナム航空が独占状態だったが、市場経済の導入にともない、パシフィック・エアラインなどが参入するようになっている。
幹線にはボーイング機やエアバス機が使われているが、地方都市へは旧ソビエト連邦製のジェット機やプロペラ機が使われている。なお、目的地に72時間以上とどまる場合には、国内線でもリコンファームが必要なので、注意する。
また、ベトナム航空では預かり荷物の重量超過料金は厳しく要求するが、機内持ち込み手荷物に関してはチェックがゆるいため、利用者が山のように荷物を持ち込むことが多い。その分、機内が混雑するので、早めに搭乗することを勧める。
- ベトナム航空
- パシフィック・エアライン
- キャセイ・パシフィック航空
- シンガポール航空
- タイ航空
- マレーシア航空
- 日本航空
- エールフランス
- 中国南方航空
- アエロフロート
- ラオス航空
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2、 空港から市内への移動
エアポートタクシー(ハノイ中心部まで10米ドル)を利用する。
3、 自家用車を利用する場合
ハノイの道路は、整備状況が悪いところが多く、自転車、バイクで混雑しているのに加えて無理な追い越しなどが平然と行われているので、車の運転は現地の事情に詳しいベトナム人ドライバーに任せたほうが無難である。また、ヘッドライトが片方しかない車や、盗難に遭ってランプ類がまったく点灯していない車も走っているので、夜間の運転は相当の慎重さが求められる。なお、自転車はすべて無灯火なので要注意である。
ウインカーを点灯しない(あるいは点灯できない)バイクや、突然進路を変える自転車、脇見運転などが非常に多い。どの車もクラクションを鳴らしたりしているが、これには車の接近を知らせる安全策の意味合いがあり、遠慮して鳴らさないとかえって危険である。子供の道路への飛び出しはあとを絶たず、郊外に出ると、家畜が不意に飛び出してくることもある。
したがって、市内、郊外ともに自分での運転は極力避けたほうがよい。
4、 レンタカーなどを利用する場合
ハノイには車だけを貸すレンタカー会社はなく、通常は運転手付きで借りる。ロジテム、レッドリバートラベル、ハノイツーリズムなどの旅行代理店に依頼する。
2003年4月現在の車両の借り上げ料金(運転手、ガソリン込み)の目安は、セダンが1日37米ドル、超過勤務1時間につき4米ドル、バン・ミニバスは、15席(8人用)が1日41米ドル、超過勤務1時間につき4米ドル、25席(10〜15人用)が1日55米ドル、超過勤務1時間につき5米ドル。四駆タイプは、1日40米ドル、超過勤務1時間につき4米ドルになっている。
5、 地図
ベトナムの全部の省を網羅した冊子の道路地図やハノイ市内地図は、ホアン・キエム湖周辺の書店などで購入できる。主要道路の交差点には案内版が設けられており、国道や省道沿いには1kmごとにマイル・ストーンが置かれているので、便利である。
交通事故、盗難
1、 対処方法
交通警察(電話:113)に連絡するとともに、ハノイの日本大使館(TEL:04-8463000)かホーチミン市の総領事館(電話:08-8225314)に連絡する。
人身事故であれば言葉の問題もあるので、必ず日本大使館または総領事館、警察の仲介を得ること。
2、 救急病院
救急車を呼び(電話:115)、ハノイであれば病院へ移送する(6-2「医療事情」の(1)「医療機関」を参照)。
地方の場合、十分な医療施設がないため、移送が可能であればハノイかホーチミンへ移送し、治療することが望ましい。ただし、応急処置や、簡単な手当てであれば、地方の県(省の下の行政単位)の中心都市の病院で対応できる。
3、 車両の盗難、車上荒らし
ベトナムは近隣国に比べ治安はよく、運転手付きで自家用車を利用する場合は、盗難に遭う可能性は少ない。しかし、自転車、バイクの盗難が多いため、駐輪する場合は、ホテルやレストランなどの監視員が配置されている場所を利用し、必ず鍵をかけておく必要がある。
交通違反
1、 交通法規
車両は右側通行で、左ハンドル車以外は公道を通行できない。中古車の輸入は禁止されている。 信号が赤でも、右折の場合は原則的に通行可能である。ただし、一部の交差点では右折または左折が禁止されている(赤丸のなかの白地に黒の矢印が描かれ、その上から赤の斜線が引かれている標識は、矢印の方向への右左折の禁止を意味する)。ハノイでは、信号が赤から青に変わる際にも黄色が表示される方式と、日本式のものが混在しているので、危険である。新設の信号では赤に変わる前に点滅するものもあり、その設置位置も、車中の人や歩行者が見やすい場所であるとは限らない。また、交通量が少ない時には点灯していない信号もあり、注意が必要である。
中央分離帯のある通りでは、中央に進入禁止の標識が立っており、慣れないうちは注意が必要である。また、通行禁止の標識は、ベトナムでは赤丸の内側に白地に黒で規制車種の絵が描いてあるので、これも慣れるまで要注意である。なお、市内中心部の主要道路は一方通行である(進入禁止の標識の赤の部分が青のものは、一方通行路の進入側を表す)。
国際免許証は使用できないが、配属機関を通じてハノイ市の公安に手数料を添えて申し込めば、1カ月くらいで日本の免許証をベトナムのものに書き替えることができる。なお、50ccまでのバイクは免許証が不要であるが、バイクの登録証は携帯しなければならない。
2、 罰金、罰則
交通違反をした場合は、免許証、車両登録証を提示の上、その場で現金を支払うことになるので、領収証を要求しておく。ちなみに、一方通行区間をバイクで逆進入した場合の罰金は2万ドンであった。
車の修理
1、 部品
バイクの部品は市内に多数出回っている。車の場合は、一部を除きほとんどが輸入品である。ただし、一部のメーカーの部品については、ショールームなどを通じて入手できる。
2、 修理工場
林業機械公社(FORMACH)はプジョーと提携している(所在地:Van DienThanh Tri
電話:04-8613929)。また、トヨタの修理工場がハノイ市内のいたるところにある。
ベトナムの修理工場は、大量の日本の中古バスを左ハンドル・右扉車に改造したり、旧東ドイツ製のトラックにベトナム産のバスの車体を載せ替えて使用するなどの技術を持ってはいるが、輸入車のアクセサリー類やハイテク機器など、修理機材や部品の交換が容易ではない箇所の修理は期待できない。
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